「打てば響く」はずですが

 6月10日に花田町長宛に「(仮称)阿武風力発電事業に対する要望と質問」を当会を含む地元三団体が提出、6月25日付で回答がありました。残念ながら、町長からの回答には方法書に対する町長意見が添付されていましたが、私たちからこの事業に対する町の姿勢を問う具体的な7項目の質問には一切回答されていませんでした。町長のモットーは「打てば響く」だったはずですが。。
★3団体からの質問概要
質問1 
林地開発許可においては「土砂の流出又は崩壊、その他の災害を発生させるおそれがあること」に該当しないと認める場合は、許可しなければならないこととされています。これだけの懸念がある事業を、町は安全だと判断されるのですか。
質問2
この風力発電事業が持続可能な循環型社会に貢献するかどうか、町づくりの方針に則ったものかどうか、この事業について住民に十分な情報が与えられ、町や町議会、また住民の間で十分な論議が尽くされているとお考えでしょうか。
質問3
4月23日の住民説明会後の新聞取材に答えて、町長は「(CO2削減量が3万9千トン以上にあたる効果)の数字を聞けば相当大きなもの。大きなデメリットがなければ、基本的には協力していく立場」(4月25日山口新聞)という見解を示されましたが、大きなデメリットとは具体的に何を指しているのでしょうか。この事業のメリット、デメリットをどのようにお考えでしょうか、町民にとってどんなメリットがあるとお考えでしょうか。
事業のメリット、デメリットを具体的に挙げて町民に示してください。
質問4 
阿武町町有林野条例第21条によれば、町有林を民間の事業に貸し出すことはできないはずですが、事業予定地内に町有林を有する地権者であり、国有林を除く民有林の林地開発許可の許認可を出す立場で大きな権限を有する町には厳正で公正な判断が求められます。事業者への協力とは、どのようなかたちの協力を想定されているのでしょうか。
質問5 
風力発電施設による健康被害者を地域で一人でも出してよいとお考えでしょうか。
質問6 
国が進める再生可能エネルギーの推進のために、阿武町の宝とも言うべき景観を犠牲にしてもよいとお考えでしょうか。
質問7
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標の一つに「森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」とあります。町長はこの事業について、地球温暖化防止に貢献し、再生可能エネルギーを推進し開発することは望ましいと見解を述べてこられましたが、稼働期間20年にすぎない一民間企業による「地球温暖化防止のための事業」の代償として、長い年月をかけて育まれてきた豊かな生態系を破壊し環境を悪化させてもよいとお考えでしょうか。
質問は以上です。

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★町長回答はここから~
(仮 称)阿 武風力発電事業 については、環境影響評価法及び電気事業法 に基づ き、これまで、事業主である日立サステナブルエナジー株式会社 (以下「事業者」という。)から令和 2年 7月 からの計画段階配慮書の縦覧、同年 10月 には風力発電事業計画に関する住民説明会、令和 3年 1月 からの環境影響評価方法書 (以下「方法書」という。)の 縦覧、同年 4月 には方法書 に関する住民説明会が開催されてきました。
その縦覧における意見書や説明会 において、本事業 に対しては、自然、環境、健康 に与える影響を懸念される方々からの反対意見が ある一方で、地元地域の維持発展の好機と捉える方々からの賛成意見がある ことなど、様 々な立場の方々の様々な意見があります。
現在、方法書の手続きにおいて、環境影響評価法第 10条 第 2項の規定 に基づき、山口県知事から方法書 に対す る町長意見 を求められ、住 民の皆様等のご意見をお聞きした上で、「全般的事項」と「騒音及び低周波音」、「水環境」、「景観」、「動物及び生態系」、「自然災害」、「工事」等 の12の 個別項 目により環境配慮 について、 「別添 1」 のとおり山 口県知事へ提 出したところで あり、今後、山口県知事の意見書に市町長意見が反映 され、最終的 に県知事意見も参考 にしての経済産業大臣意見が事業者に通知される予定となって います。
 また、風力発電事業 の許認可については、経済産業省が管轄で、その認可事項の中に環境 アセスメントをクリア していることが要件とな っており、環境アセスメントにつ いて は、環境影響評価法、その他開発に関わる関係法令や最新のデー タを用いた判断基準や指針 に基づ いて、それぞれ審査、また認可され、その上で、健康や環境等の影響 にあたえるものでなけれ ば、風力発電事業 について は、 この地域の恵まれた風況 を活用するものであり、地球温暖化防止に貢献する発電技術 として期待され、地球環境の保全 を図 っていく上で、再生可能エネルギー を推進することは望ましいことであると考えます。
 しかし、現段階で示された風力発電機 の設置位置もまだ最終確定ではなく、方法書の手続きが終わり次第、実際に環境影響評価の各項目についての現地調査が開始され、予測及び評価がされることとなります。
 今後 、その現地調査を受けて、次の環境アセスメントである環境影響評価 準備書の中で事業者から説明されることと思いますので、事業者にはより具体的かつ丁寧な説明を求めるとともに、町としても、その説明を受け判断したいと思いますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
以上。